はじめに

「4P（企業の魅力因子）」とは、企業の採用活動において、求職者に対して自社の魅力を効果的に伝えるために活用されるフレームワークです。このフレームワークは、「Philosophy（理念・目的）」「Profession（仕事・事業）」「People（人材・風土）」「Privilege（特権・待遇）」の4つの要素で構成されています。

それぞれが求職者にとって企業選びの重要な判断基準となるため、企業はこれらの要素を整理し、効果的に情報発信することが採用活動の成功に繋がります。

そこで、今回本記事では、4Pのそれぞれの要素と、これを採用活動に活用した際のメリットを紹介していきます。

4Pの要素

1. Philosophy（理念・目的）

Philosophyは、企業の存在意義や価値観、目指すべきビジョンを指します。この要素は、求職者が企業に対して「共感」できるかどうかを左右します。理念が明確であり、かつ社会的意義を感じられるものであれば、求職者に強い印象を与えることができます。

主な内容：

• 企業理念：会社がどのような価値を社会に提供しようとしているのか。
  例：「地域の暮らしを支えるソリューションカンパニー」
• ミッション：現在の事業を通じて達成したい具体的な目標。
  例：「持続可能な社会の実現を目指して」
• ビジョン：未来に向けた方向性や長期的な目標。
  例：「地域からグローバルへ、新たな挑戦を」

ポイント：
求職者は「自分が共感できる理念か」を判断材料とするため、企業理念やミッションは採用サイトや説明会でしっかりと伝える必要があります。

2. Profession（仕事・事業）

Professionは、企業が展開している事業内容や、求職者が実際に取り組む仕事のことを指します。どのような業務に携われるのか、どのようなスキルが身につくのかなどを明確に伝えることで、求職者に「ここで働きたい」と思わせる要素となります。

主な内容：

• 事業内容：企業が提供する製品やサービスの詳細。
  例：「最先端技術を活用したIoTソリューションの開発」
• 業務内容：具体的にどのような仕事に携わるか。
  例：「新規プロジェクトの企画・推進」「クライアント対応」
• スキルアップの機会：仕事を通じて得られる知識や経験。
  例：「最新技術に触れながら成長できる環境」

ポイント：
求職者が企業で働くことのイメージを持てるよう、具体的な仕事内容を伝えることが大切です。また、キャリア形成や成長の機会を明確にすることで、特に若手人材の応募を促すことができます。

3. People（人材・風土）

Peopleは、企業で働く「人」とその職場環境や風土を指します。どのような人が働いているのか、職場の雰囲気やチームの関係性はどうか、といった点が含まれます。これは求職者が「自分がこの環境で働きたい」と思うかどうかに直結する要素です。

主な内容：

• 社員の特徴：どのようなスキルや価値観を持つ人材が活躍しているのか。
  例：「挑戦を楽しむプロフェッショナルが集う職場」
• 職場風土：コミュニケーションのスタイルや企業文化。
  例：「オープンでフラットな組織風土」
• チームワーク：社員同士の協力関係や支援体制。
  例：「困ったときは互いにサポートし合う文化」

ポイント：
社員インタビューや実際の職場風景を伝えることで、求職者に働くイメージを具体化させることができます。また、企業文化が求職者の価値観に合致する場合、応募意欲が高まります。

4. Privilege（特権・待遇）

Privilegeは、企業が提供する給与や福利厚生、その他の特典を指します。この要素は、求職者が企業を選ぶ際の「合理的な基準」として大きな影響を与えます。

主な内容：

• 給与と手当：基本給、昇給制度、インセンティブ。
  例：「実績に応じたインセンティブ制度」
• 福利厚生：健康保険、住宅補助、リフレッシュ休暇など。
  例：「週休3日制の導入」「フルリモートワーク可能」
• 働きやすさ：休暇制度、残業時間の短縮など。
  例：「残業時間月10時間以下」「フレックスタイム制度」

ポイント：
単なる金銭的な報酬だけでなく、働きやすい制度や環境をアピールすることで、求職者に企業の「魅力的な待遇」を伝えることができます。

採用の4Pのメリット

企業が採用活動に4Pを導入することで得られるメリットは以下の通りです。

応募者が増える可能性がある

「自分にできる仕事」や「報酬」で働く企業を選ぶ人よりも、近年は「自分に合った会社か」という視点で働く企業を選ぶ人が増えている傾向にあります。採用における「4P」は求職者にとって、「自分に合った会社か」を見極めるための情報が整理されている構成要素です。

企業の理念や社風、実際に任せられる業務や、働くことで得られる待遇など「4P」を明確にすると、求職者はその企業で働く自分をイメージしやすくなり、応募者が増える可能性が高まります。

自社と相性の良い人材から応募が来やすくなる

自社の採用「4P」に対して理解・共感し応募してくれる候補者は、自社と相性の良い人材でしょう。

例えば、労働環境を明確にすれば、求職者はその企業で働く魅力や妥協点を、予め理解したうえで応募するので、入社後に「やっぱり思っていた環境と違った」というミスマッチを防ぐことができます。結果的に短期間で、求める人材からのアプローチが増える可能性が高まります。

既存従業員のモチベーションアップに繋がる

「4P」を活用するメリットは、採用活動だけにとどまりません。「4P」を掲げることで、従業員や取引先も改めて自社の魅力を実感することができます。

企業の理念やサービスに対する想いを社内外で認識統一ができ、応募者とのミスマッチ防止、従業員のモチベーションアップ、さらには取引先や顧客からの認識や評価にも良い影響が与えられることが期待できるでしょう。

まとめ

応募者数を増やしても、自社にマッチしない人材からの応募が多くなってしまうと、逆に採用担当者の手間やコストが増えてしまう可能性があります。自社にマッチする優秀な人材確保のために、自社の魅力や強み、風土を伝えられる4Pを上手に活用することが大切です。

本記事を読んで、どんな採用活動を行うべきか分からない、または自社だけで採用活動を行うのが難しいと思った方は、是非一度人財企画までご相談ください！貴社に最適な採用方法のご案内で、採用活動を成功へ導きます。