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「ジョブ型雇用」ってどんな雇用制度?新卒一括採用からの脱却できるポイントとは!?
少し前からよく耳にするようになった「ジョブ型雇用」を知っていますか?
働き方の変化や本格的なダイバーシティの導入に伴い、
これまでの日本で主流だった「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」を採用する企業も少しずつ増えています。
導入できるのはまだ大手企業中心かもしれませんが、「自分には関係ない」と思わないで市場の動きとして把握しておきましょう!
ジョブ型雇用とは
「ジョブ型雇用」とは、仕事内容に必要なスキルを持つ人材を雇用する、欧米で古くから主流となっている制度です。
ジョブ型雇用では職務記述書をもとに契約を交わし、その範囲内でのお仕事をお願いすることになります。将来性や人柄での採用というわけではなく、求職者の持っている現在のスキル・知識を元に採用するか判断します。
今の日本企業では「メンバーシップ型雇用≒新卒一括採用」が主流となっています。
これは採用の時点では職種を限定せず、企業が求める人材像にマッチするか、長く働けそうか、という観点を重視し、
その上で、入社してから適性などを判断して担当職務を決定する雇用の手法です。
終身雇用を前提に総合職を採用し、配置転換しながら経験を積ませる日本型雇用の典型である
私たちになじみ深い採用方法ですね!
メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の比較
では、日本の主流制度である「メンバーシップ型雇用」と「ジョブ型雇用」はどのような違いがあるのでしょうか。
ふたつの雇用制度を比較しながら、見ていきましょう。
①求められるスキルの違い
・メンバーシップ型雇用
社内で教育を受けながら様々な経験を積んでいき、
会社のために多様な業務をこなす「オールマイティーな人材」が高い評価を受けることができます。
・ジョブ型雇用
特定の分野に関する専門的なスキルが求められます。
②報酬における違い
・メンバーシップ型雇用
同じ会社で長く勤めることが想定されており、勤続年数などによってだんだんと昇給・昇格していくことができます。
・ジョブ型雇用
ジョブディスクリプション(職務記述書)によって職務や勤務地が限定されているため、会社内での昇給はほとんどありません。
③教育面における違い
・メンバーシップ型雇用
新卒一括採用をベースとしているので、職務に必要なことや社会人としてのマナーを一から教育する手厚い環境が用意されています。
・ジョブ型雇用
求めている能力を持ち合わせた人材を募集し、雇用するシステムですので、会社で教育をすることはほとんどありません。
これは、会社側からすると研修などの教育にかけるコストが削減できるという点でメリットとなります。
④採用方法における違い
・メンバーシップ型雇用
新卒一括採用を元に成り立っている制度になります。
採用活動の時点では職務を特定せず、総合職などとして全員同待遇で採用し社内で育て上げることで優秀な人材に成長します。
・ジョブ型雇用
必要な枠に欠員が出たときに募集をかけ、求めるスキルを持つ人材をピンポイントで採用します。
学歴や面接力よりも実績や自身の持つスキルが重要視されるので、新卒の学生は職業訓練などに参加して
積極的にスキルアップをしなければ就職することが難しくなります・・・。
⑤評価制度の違い
・メンバーシップ型雇用
労働時間によって評価がなされます。
勤続年数によっておのずと報酬が上がっていく「年功序列」の仕組みとなっています。
・ジョブ型雇用
特定の職務に限定して採用されているので、成果物がそのまま評価に直結します。
求められている成果が出せないと解雇される可能性もありますが、労働者の持つ専門的なスキルを適切に評価することが可能になります。
ジョブ型雇用のメリットとデメリット
次に、ジョブ型雇用のメリットとデメリットを紹介します。
メリットとデメリットをよく理解し、今後の働き方の参考にしてみてください。
メリット
・スキルや技術のある人材の確保
・業務であげた成果に応じて正当に社員を評価してもらえる
デメリット
・自社より好条件の他社に早期転職されてしまう可能性がある
・ある部署で急に人手が足りなくなったときに他の部署から異動できないなど、流動的な対処が困難
・メンバーシップ型雇用から転換する場合、給与体系や社員の評価項目などの抜本的な見直しが必要になる
ジョブ型雇用の導入事例
ジョブ型雇用を取り入れる企業は、年々増えています。
では、実際にジョブ型雇用を導入する企業の具体例を見ていきましょう。
①富士通株式会社
富士通株式会社では、2020年4月より幹部社員を対象としたジョブ型の人事制度を導入しています。
人材の流動性が高まる現代で人材流出を防ぐために、社内の流動性を高めようという狙いがあります。
ジョブ型の人事制度とは、FUJITSU Levelと呼ばれる職務の大きさや重要性を格付けしたものを基準にして報酬を決定する制度です。
より大きな職務にチャレンジすることを促し、成果を上げた人には報酬をタイムリーに与えることが目的とされています。
富士通におけるジョブ型雇用は、より高い業績を収める優秀な人材を優遇するシステムと言えそうです。
②株式会社日立製作所
2021年4月からジョブ型雇用を導入しました。
事業のグローバル化に合わせて2011年頃からグローバルに対応した人事制度を取り入れています。
期待される成果と報酬が見合っていないという課題を解決するために、役割や職責の大きさに応じて
ポストに値段をつける制度を導入しています。
明確になったポストの役割や職責を果たせる人材が年齢に関係なくポストに就けるようにジョブ型雇用への移行を決めました。
また、ジョブ型雇用に移行することで、会社から与えられたキャリアを受け入れるのではなく、自らの意思でキャリアを築き、
仕事のやりがいや意義を感じながら働いてもらいたいという思いもあるようです。
グローバル化が背景にあったためジョブ型雇用の導入ができた例だと言えます。
③KDDI株式会社
KDDI株式会社では、2020年8月よりジョブ型人材マネジメントを用いた人事制度が導入されました。
この制度は、働いた時間ではなく、成果や挑戦、能力を評価し処遇へ反映することを目的として、
KDDI型のジョブ型の推進を目指すためのものです。
市場価値に基づく報酬制度や社員のスキルの専門性を高めることが可能になるジョブ型の長所を生かしながら、
KDDIグループの広い事業領域でのさまざまな成長機会を活用してもらう狙いがあります。
また、KDDIでは2021年4月からは、新卒社員の一律の初任給制度を撤廃し、能力に応じた給与体系を導入しています。
ジョブ型雇用の導入により、業務内容に合わせて働く場所を選べるようになり、リモート会議も推進されています。
④株式会社資生堂
2017年に管理職を対象に導入し、2021年1月から一般社員3800人をジョブ型の人事制度へ移行しました。
「戦略の立案」や「売り上げの達成」など、それぞれのポストに求められる役割と、必要な専門性を細かく明示し、
適性のある人材を配置して、社員と上司が話し合い具体的な目標や計画をどこまで達成できたかで
給与や次のポストが決まる仕組みを展開しています。
資生堂の職務記述書では、採用基準となるスキルや経験なども記載されています。
専門的なスキルの他に「社会人基礎スキル」も求められているため、ただ専門スキルがあればよいというわけではないようです。
新しい雇用形態「タスク型雇用」とは
ジョブ型の次の雇用形態とされ、欧米で広がっているのが「タスク型雇用」です。
タスク型雇用とは、職務よりももっと狭い範囲で、そのときに発生している課題(タスク)ごとにスポット的な雇用をする形態です。
実際にタスク型雇用を行っているビジネスで有名なのが「UberEatsの配達員」です。
デリバリーにおける「配達」というタスクを依頼している形になります。
場合によっては一日だけなど、短い期間での雇用になることもあります。
社内の人間だけでは人手が足りない時や、一時的に専門的な知識が必要になる業務を行う際などに活躍する働き方です。
プロジェクトやタスクごとに人を集め、終了すると同時に解散するので、
非常に高い技術を持っているがハイコストな人材の手を借りやすくなるというメリットがあります。
その反面、ごく一部の上層の人間以外、ほとんど日雇いのような状態になるため雇用が非常に不安定になるのが懸念されています。
まとめ
グローバル化が進む中で、日本企業はメンバーシップ型雇用ではない雇用形態へ移ろうとしています。
ですが、「メンバーシップ型」も「ジョブ型」も、その次といわれる「タスク型」もすべてメリットもデメリットもあります。
コロナ禍で様々なところから変化を感じる時代となりましたが、
今後の市場の動きをよく観察し、お客様に相談されたときに「よくわからないな・・・」なんてことにならないように
ガンガン知識を蓄えましょう!
皆さんもこれを機に、自分の働き方を見直してみてください!
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